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知れば知るほどうまくいく〜障害者雇用エピソード100 障害者雇用コンサルタント 初瀬勇輔氏トークコラム
知れば知るほどうまくいく〜障害者雇用エピソード100 / 障害者雇用コンサルタント 初瀬勇輔氏トークコラム
 
障害があってもなくても一緒に仕事をしていくうえで欠かせないのはコミュニケーション。お互いの考えを相手に理解してもらわないことにはよい仕事はできませんね。では、聴覚障害の人とのコミュニケーションは?──障害者雇用エピソード100、その第1話は初瀬さんのそんな体験談です。
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episode1:第1話 手話の効果は無限大!
第1話 手話の効果は無限大!
 

はじめに。

はじめまして。障害者雇用コンサルタントの初瀬勇輔です。

障害者雇用って、大変そうなイメージがありますよね。実際、働いている障害者はもちろん、雇用している企業の担当者の方の不安や悩みも尽きることはありません。周囲からプレッシャーもかけられますし、現在進行形でご苦労されている方も多いのではないでしょうか。

でも・・・

実は障害者雇用の不安や悩みって、ちょっとした工夫・配慮・取り組みで解消することも多いんです。

私は障害者雇用の2つの立場を経験しています。1つは障害を持った当事者として、採用・雇用される立場、そしてもう1つは、障害者雇用の責任者として障害を持った社員の採用やマネジメントをする立場。この2つの立場を経験したことが、障害者雇用コンサルタントとしての今の私の核になっていると言えるでしょう。

最初は失敗と反省の連続でした。自分も障害者でありながら、他の障害を持った方に対して「障害者ってなんだか怖い」と思っていた時期もありましたし、障害者雇用が企業に与えるプラス(メリット)を知らない時期もありました。今思えば恥ずかしいくらいの失敗談も数え上げればきりがないほどあります(笑)。

でも、そんな失敗や反省が私に気づきを与えてくれたと確信しています。私を励まし、成長させてくれた、当時の上司・同僚、そして何より一緒に働いたすべての障害を持つ社員の方々に感謝しています。

そんな私の、今だから語れる現場体験、失敗談を紹介させていただくこのコラム。これから障害者雇用に携わられる方、今現在障害者雇用に悩んでいらっしゃる方に、成功へのヒントと、何より勇気を与えられるものにできたらと思っています。

肩の力を抜いて、お読みいただければ幸いです。
 

視覚障害者と聴覚障害者の相性ってどうなのよ?

第1回となる今回は、コミュニケーションについてのエピソードから。

大事だとは思っていても、ついついおろそかにしがちなコミュニケーション。障害者雇用の現場では、本当は一番大切なことなのかもしれません。

これは私が特例子会社で働きはじめたばかりの頃の話です。

あるとき、人事異動で聴覚障害者のYさんが、私のいた部署に配属となりました。そのときのことは今でもよく覚えています。なぜかというと、私がYさんの異動を嬉しく思っていなかったからです。

視覚障害者である私にとって、聴覚障害者のYさんは、苦手な相手でした。当時の私には、見えない私と聴こえないYさんの相性がいいとはどうしても思えませんでした。でも、同じ職場の同僚となれば、そんなことは言っていられません。苦手意識を持ったまま、Yさんと一緒に仕事をすることになりました。
 

Yさんってすごい! イメージだけで苦手意識を持っていた自分を反省。

Yさんは、とてもフレンドリーな方で、障害にとらわれることなく、主に口話でコミュニケーションをとる方でした。口話というのは、唇を読むことで、相手の話を理解し、自分も発話することでコミュニケーションをとる方法です。少し、声がこもる感じはありますが、Yさんの口話はほとんど完璧です! 大阪出身のYさんはつまらないギャグも言ってくれました。
私は、ただただ感心するばかり。一番、感銘を受けたのは、聴覚障害があるにもかかわらず、口話を駆使して積極的に会話をしようとする、その姿勢でした。

きっと、口話よりも手話や筆談の方が楽だったと思います。それでも会話を通じて、私たちと信頼関係を築こうとしてくれていたのだと思います。私は、表面的なイメージだけでYさんに苦手意識を持っていたことを恥ずかしく思いました。
 

手話教えてください! コミュニケーションはお互いの歩み寄り!?

Yさんと働き出してしばらくした頃、私とYさんの2人で1つの案件を担当することとなりました。

二人で打ち合わせを繰り返し、資料の作成はパソコンが得意なYさんにお願いすることにしたのですが・・・話が細部に至るにつれて、口話だけのコミュニケーションに限界が。少し詰めた話になってくると、口話だけでは追いつかなくなってきたのです。当然、メールも使いながら確認はしているのですが、お互いミスや思い違いが増えてきてしまいました。

どうしたものか。いろいろ考えました。そして、ある日の打ち合わせの際、私はYさんに言いました。

「手話、教えてください」

Yさんは少し驚いていましたが、快諾してくれました。その日から、ちょっとずつ手話を教えてもらいました。

手話をやりだして、1番の収穫は、手話でコミュニケーションをとれるようになったこと・・・ではありません。それまで以上に、Yさんと信頼関係が築けたことです。コミュニケーションはお互いの歩み寄りが大切、そして、それが信頼関係を生むと学んだ出来事でした。
 

1日1手話をみんなでトライ!

手話をやることでYさんと信頼関係を深めた私は、部署全体でもこの信頼関係を持ちたいと考えました。こんな楽しいことを1人で独占するのはもったいない、みんなで共有しようという気持ちもあったように思います。

そこで始めたのが、「1日1手話」です。

朝礼のときに、Yさんから手話を1単語ずつ教わるというシンプルなものです。初めて習った単語は「おはようございます」でした。

たかが1日1手話、されど1日1手話! 1日1手話を侮ってはいけません。毎日1語でも、週に5語、一ヶ月に約20単語教えてもらうことになります。仕事中や休憩、お昼など、教わった手話を使いながら、また気になる言葉の手話を聞きながら、語彙を増やしていくと・・・1年も経った頃には、私をはじめ全員がスムーズに会話をすることができるくらい上達していました。

もちろん、最初の狙い通り、部署全体の雰囲気がよくなったことは言うまでもありません。
 

聴覚障害の方のコミュニケーション手法が、企業に大きなプラスを!

聴覚障害者の方を雇用している企業や、雇用しようかと考えている企業では、ぜひ手話へのチャレンジをお勧めします。かかる時間はたったの5分、効果はまさに無限大です。

社内のコミュニケーションをよくしたりするばかりか、企業イメージの向上にもプラスとなります。社員が手話を体得している企業って、好感度高くないですか?

ちなみに手話が上達すると、内緒の話が大っぴらにできるようにもなります。電車やレストラン、そしてエレベーター・・・。 手話という、人目を惹くツールで想像もつかないくらいくだらない会話を、公の場で楽しんでみてはいかがでしょうか。

ただし、周りに手話のできる人がいないことが条件ですので、ご注意を(笑)。
 
 
 
 
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