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知れば知るほどうまくいく〜障害者雇用エピソード100 障害者雇用コンサルタント 初瀬勇輔氏トークコラム
知れば知るほどうまくいく〜障害者雇用エピソード100 / 障害者雇用コンサルタント 初瀬勇輔氏トークコラム
 
人には皆それぞれ得意・不得意、苦手なことなどがありますね。職場の仲間や上司がそれを理解して、得意を活かし、不得意をカバーし合えたら、雇用はもっとうまくいくはず! 社内の雰囲気はもっとよくなるはず!──今回は、初瀬さん入社時のそんなエピソードです。
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episode3:第3話 意外と難しい? 障害理解!
第3話 意外と難しい? 障害理解!
 

言いにくい? 聞きにくい? 障害のこと・・・

こんにちは。障害者雇用コンサルタントの初瀬です。

今回は、障害の汲み取り方についてお話したいと思います。

障害者にとって「障害」はあまり触れて欲しくない。でも、しっかり理解してもらいたいという、とっても複雑でデリケートなもの。企業にとっても、障害に対する配慮のため理解したいのだけれど、どこまで聞いていいのかわからない。そんな悩ましいものですね。

お互いに理解し合いたいのに、なかなか先に進めない。

障害者が職場でどう障害について伝えたらいいのか、企業は障害をどう汲み取っていくべきなのか──私の経験をお話しましょう。
 

夢と希望に満ちた初出社。

私が就職したときの話です。

ピチピチの新人というには微妙な年齢の26歳・・・大学卒業後1年、視覚障害を持ってから3年が経った頃のことです。

学生時代に目を悪くしたけれど、就職できたという誇らしい気持ちと、新しい環境への不安な気持ちを今でもはっきりと覚えています。

会社での障害配慮についてはあまり不安はありませんでした。私以外にも視覚障害の社員がいるということを聞いていましたし、面接の中で自分の障害についてきちんと話せていたと思っていたからです。

とにかく元気に挨拶しようと心に誓って出社した、その初日のこと──
 

絶望と怒りと悲しみ・・・初日に辞めることを考えた。

──誓っていた通り、部署の朝礼ではしっかりとした挨拶を行うことができました。

入社の手続きを経て、自分のデスクについたのは午後になってからだったでしょうか。初日ということもあり、共有サーバにある自分の部署のフォルダを見て、仕事の流れなどを把握するのが、私のまず最初の仕事のはず・・・でした。

「これが今日からお世話になるデスクかあ」としみじみ思いながらパソコンの電源を入れました。私は、視覚障害のため、パソコンは音声ソフトを入れて使用しています。電源を入れると音声が・・・・・・聞こえてきません。
「ん?」
不安になった私が問い合わせると、なんと手違いで音声ソフトを入れていなかったとのこと。しかも、セキュリティの関係上、ソフトのインストールには数日かかるとのこと・・・。

視覚障害を持たない方であれば、パソコンが使えなくてもペーパーの資料を読んだりいろいろとできるのでしょうが、視覚障害者で、音声ソフトユーザーの私はパソコンなしではにっちもさっちもいきません。ただただデスクで座っていることしかできませんでした。

そんな私を見かねたのか、当時の上司が仕事を与えてくれました・・・・・・が、、、それがまた私を愕然とさせました。

上司が与えてくれた仕事は郵便物の仕分けだったのです。パソコンの操作に音声ソフトを必要とする視覚障害者に対して、与えられた仕事が視力を必要とする郵便物の仕分け、、、、。

最初は意味がわかりませんでした。
障害への理解と配慮の無さに絶望と怒りと悲しみを感じ、あらためて視力について説明する気力がなくなってしまいました。

結局、その日は間違えては注意され・・・を何度も何度も何度も何度も繰り返してしまいました。そして、入社初日にして、私の夢や希望はどこかに飛んでいってしまいました。

終業時間の頃には退職することすら考えはじめていました。
 

辞めるくらいなら、アクションを。震える声で上司に・・・

・・・とはいえ、せっかく入った会社です。辞めるくらいなら、何かアクションを起こさなければいけないと思い、翌日の朝、障害への理解の無さを糾弾するくらいの気持ちで上司に話しかけました。もしかしたら、声が震えていたかもしれません。

私「お話よろしいですか」
上司「いいですよ。どうかしましたか?」
私「僕、目が悪いんです。なので・・・文字を見るような仕事はできないんです」

すると、上司はとても驚いた様子でこう言いました。

上司「えっ! それは申し訳ありませんでした。普通に歩かれていたので、そういう仕事をお願いしてしまいました。では、仕事のやり方を他に考えましょう!」
私「あ、、、はい! よろしくお願いします!」

あまりにあっさりとした解決に拍子抜けしてしまいましたが(笑)、その後、部署の仕事の中で私に向いている仕事、やり方を変えればできそうな仕事を一緒に考え、私の仕事とさせてもらいました。
しばらくすると音声ソフト、拡大読書機も設置され、より多くの仕事が任せてもらえるようになりました。
 

自分の障害の一番の理解者は?

このことで気づいたことがあります。

たとえば、視覚障害者にもまったく視力のない全盲の方から、ほとんど健常者と変わらない弱視の方までさまざまいます。

私は、中心の視野が欠けているため、文字を読んだり、郵便物の宛名を判断したりは難しいのですが、慣れているところであれば歩行はそんなに問題ありません。知らない人から見れば視覚障害者であるとわからないくらいに歩くことができます。

障害は人それぞれ、個人差がとても大きいもので、同じ障害名だからといって、まったく同じとは限りません。

障害の1番の理解者、苦手なところを1番よく知っているのは「自分」だということです。
 

自分に誓ったこと(1) 話したくないことを、自分から話していこう!

このときの経験をキッカケに、自分に誓ったことが2つあります。

1つ目は自分の障害について周囲にきちんと説明をする習慣をつけようということです。

自分の障害についてあまり話したくない気持ちは、私も障害当事者ですからよくわかります。ですが、話さないことによるデメリットを経験した私は、自分から積極的に伝えたときのメリットの大きさもよく知っています。

障害者には、仕事における制限がどうしてもできてしまいます。文字が読めない、電話に出られない、移動が難しい、細かい作業ができない、長時間の勤務ができない・・・などなど例を挙げたらきりがありません。

会社は社員がお互い協力し合って仕事をしている場所です。

できること、できないことをはっきりしておくこと、それを周囲に伝えてしっかり理解してもらうことで、お互いに働きやすい環境をつくることができるのです。
 

自分に誓ったこと(2) 聞きにくいことを、自分から聞いていこう!

2つ目は、障害者本人から言い出しにくいことだからこそ、私から聞いていこうということです。

実は視覚障害者同士が話をするとき必ず出てくるのが「どのくらい見えてるの?」というフレーズです。

同じ障害という気安さもあるのでしょうが、自然とお互いの障害の程度を聞き、より視力のある人が視力の弱い人をサポートする傾向にあります。変に意識せず、障害について聞いてあげることで本人も仕事がしやすくなることは間違いありません。

たとえば知的障害の方で自分の障害について上手に説明できない方もいるかと思いますが、そういった場合でも保護者や支援機関の方、学校の方などにこちらから聞いてあげられれば、本人に対する理解もしやすいのではないでしょうか。もちろん、保護者も知らないような苦手なこと、得意なこともありますので、必ず本人にも聞いてくださいね。

私がよく使っているフレーズを紹介しましょう。
「苦手なこと教えてください」
「何か配慮して欲しいことはありますか」
「こうしてもらえると助かるということはありますか」
 

障害を汲み取ることは、思いを汲み取ること。

障害を理解する、理解してもらうというのは、突き詰めればお互いを思いやることだと思います。

障害を持った社員のことを思いやり、障害について問いかける。
障害を持った社員は、他の社員に気を遣わせないように思いやって、自分の障害について自分から伝える。

そういうお互いの思いを汲み取るのが、障害を汲み取ることだと思います。

障害を持った社員が障害について伝えようとし、他の社員は障害について理解しようと問いかける。そんな思いやりにあふれた会社、いいですよね。

障害についてだけでなく、社員全員が他の社員のことを理解し、得意なことを活かし、苦手を補い合えれば、社内がよい雰囲気となってくるのは間違いありません。

まずは自分の苦手なこと、不得意なことを隣の席の同僚に伝えるところからはじめてみてはいかがでしょうか。きっとよい反応が返ってくると思いますよ。ぜひお試しください!
 
 
 
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