ワッホーインタビュー
2010年5月20日_絵画展 口と足で表現する世界の芸術家たち 小平展(東京都) 絵画展運営責任者・宮本千尋氏インタビュー
絵画展運営責任者・宮本千尋氏、登場!
毎年全国10数都市で順次開催されている「絵画展 口と足で表現する世界の芸術家たち(旧名称:世界障害者絵画展)」。社員の皆さんのボランティアにより運営されている、このバリアフリーアートイベントはどのように生まれ、どのように運営されているのか? 小平展の会場で、絵画展運営責任者の宮本千尋さん(三菱電機ビルテクノサービス株式会社 広報室 室長代理)にお話をお聞きしました。
2010年5月20日_絵画展 口と足で表現する世界の芸術家たち 小平展(東京都) 絵画展運営責任者・宮本千尋氏インタビュー

とにかく絵をご覧いただきたい。きっとなにかを感じられるはずです。

ワッホー どの会場にもたくさんのお客様が来場されている絵画展ですが、もともとはこの体育館に社員の方々が絵を飾られたのがスタートとお聞きしていますが?

宮本さん 正確には体育館ではなくてですね・・・ここ(三菱電機ビルテクノサービス株式会社 教育センター)は全国のエンジニアたちが集まって研修を受ける拠点なので1991年に宿泊棟を建設したのですが、そこがあまりにも殺風景だったので、なにか絵を飾ろう、と。それがここに絵画を展示しはじめたキッカケですね。

ワッホー はじめから障がいをもった芸術家の皆さんの作品だったのですか?

宮本さん そうです。ここは研修の場でもありますし、絵を飾るにしてもなんでもいいというわけにはいかないだろう、と(笑)。なにかいいものはないかと探していたときに「口と足で描く芸術家協会(当時は世界身体障害芸術家協会)」と出会い「これは素晴らしい」と、すぐに作品を購入して飾りはじめました。

ワッホー もともとは社員の皆さんが観られる作品だったのですね。それがなぜ全国で開催されるような展覧会になったのでしょう?

宮本さん 全国から研修でやってきた社員たちがですね、飾ってある絵を観て「何だ、これは?」「この絵を口や足で描いたのか?」と驚くとともに、いたく感動して。

ワッホー 感動するでしょうね。

宮本さん 社員たちは近隣のお店に食事に行ったり、飲みに行ったりするじゃないですか。そのときに絵のことを話したらしいんですよ。「本当に素晴らしい」「感動した」と。すると、皆さんも「自分たちにも観せてほしい」となりますよね。そこで、ぜひ近隣の皆さんにも観ていただこうとなったのですが、宿泊棟にご招待するというわけにもいかないので、皆さんにもご覧いただきやすい事務所や体育館に展示したのが、世界障害者絵画展(現:絵画展 口と足で表現する世界の芸術家たち)のはじまりです。

ワッホー なるほど。社員の皆さんの感動が口コミで近隣の皆さんに広がって絵画展が生まれたわけですね。すぐに全国で開催されるようになったのですか?

宮本さん 小平の展覧会に訪れてくださった皆さんがいたく感動されているのを見て、全国から集まってきていたエンジニアたちが「ぜひ自分たちの地元の皆さんにも絵を観てもらいたい」と。当社は全国10都市に支社があるので、だったら支社ごとに開催して、それぞれの地元の皆さんにもご覧いただこうとなって。翌年には全国開催をはじめました。

ワッホー 社員のアイデアが会社の事業となったわけですね。社長はじめ役員の皆さんは最初から好意的だったのでしょうか?

宮本さん これが幸いなことに(笑)、当社の経営層は歴代社長はじめ皆「この活動は大切だ!」「続けていかなきゃいけない!」と考え、理解してくれています。

ワッホー 素晴らしいですね! 世の中はあまり景気がよくなく、これまで続けてきていた社会貢献活動や福祉活動を休止された企業さんも多いのですが・・・。

宮本さん 絵画展のような活動は打ち上げ花火的1回行うよりも継続して開催することが大切だと思うので、コストをできるだけ抑えて開催できるよう工夫しています。

ワッホー 毎年の作品数を50点と決められているのも、そのためですね?

宮本さん はい。絵の運搬や管理のコストを抑えつつ、でも、絵画展としての見応えは出したい。そう考えたとき、最適な作品点数が50点でした。

ワッホー コストの面で考えると、社員の皆さんで運営されているというのも大きいのでは?

宮本さん そうですね。大きいと思います。

ワッホー 社員の皆さんはボランティアとして参加されているとお聞きしましたが?

宮本さん はい。会社の事業ではありますが、それを支えているのは社員たちのボランティアマインドです。休日には社員の家族が手伝いに来てくれることもあります。

ワッホー 社員の皆さんの反応はいかがですか?

宮本さん 最初は皆、単純に絵を観て驚きますね(笑)。「これはスゴイ」と。そして、何回か携わってくると、運営も楽しくなってくるようで(笑)、各支社を中心に近隣の拠点の社員たちみんなで盛り上げていこうとワイワイやっているようです。

ワッホー 障がいをもった方々と接する機会というのは通常あまりないと思うのですが、社員の皆さんはとくに意識しすぎたりされていないですか?

宮本さん ないですね。車いすをご利用の方も多いですから気は配っていますが、抵抗感とかはまったくないですね。自然に接しているようです。

ワッホー 絵画展に来場されたお客様たちの反応はいかがでしょう?

宮本さん 毎回アンケートを取っているのですが、やはり多いのは「生きる勇気をもらった」とか「力強さを感じた」とかですね。「自分自身の生き方を見つめ直すよいキッカケとなった」とか「自分ももっと頑張らなきゃいけないと思った」と思われる方も多いようです。

ワッホー 確かに思います(笑)。宮本さんは絵画展の責任者でもありますので特定の作品名をあげていただくのは難しいかもしれませんが、宮本さんご自身のお気に入り作品などありますか?

宮本さん そうですねえ・・・思い出深いという点では南正文さんが描かれた「コスモス」でしょうか。東京タワーで開催した絵画展のときに南さんが実演にいらっしゃってくださって、そのときに描かれていた作品です。

ワッホー 東京タワーでの絵画展と思い出が重なる?

宮本さん そうですね。描かれている途中を見ていて、何年後かに絵画展の作品にピックアップされたときに「あのときの作品だ!」と。

ワッホー なるほど。絵画展で生まれて、今絵画展で紹介されている作品というわけですね。

宮本さん フィリップス・スワネポールさんの描かれた「グラーフ川沿いの農家」も好きな作品です。この絵を観ると「風が見える」気がします。

ワッホー 風が見える?

宮本さん ええ(笑)。吹き抜けている風が見える気がします。

ワッホー なるほど。確かにそんな感じがしますね。

宮本さん 作品ではないのですが、画家の安達巌さんは印象深い方でした。実演にいらしても、いつも漫談のような楽しいやり取りをしながら絵を描かれていました。

ワッホー 豪快な方だったらしいですね?

宮本さん ええ(笑)。実演の場所を決める際、はじめのうちは画家の方々が集中して絵を描きやすいようにと、私たちとしては気を使ったつもりで、会場の中の静かな場所に実演ブースを設けていたのですが、安達さんに怒られまして(笑)。「オレを客寄せで使わないでどうする! 実演は来場された方々が一番見やすい場所にしろ!」と。

ワッホー もっともですね(笑)。

宮本さん それ以来、絵画展の実演ブースは会場の一番お客様の集まりやすい場所に設けられるようになりました。もちろん静かな場所で描きたいという画家さんもいらっしゃいますが、自分の創作をたくさんの方に見てほしいという画家さんも多いんですよ。

ワッホー 確かに、実演をされている画家さんたちは、皆さん楽しそうです。お客様たちと談笑されていることも多いですしね。

宮本さん 画家の皆さんは気さくな方が意外と多いですからね(笑)。

ワッホー 最後に[ワッホー]をご覧の皆さんにメッセージをいただけますでしょうか?

宮本さん なにはさておき、まず絵をご覧いただきたいですね。きっと何かを感じていただけると思います。この絵画展が、自分の中の垣根を取り払うよいキッカケ、相互理解のよいキッカケとなるとよいと思っています。今年も頑張って各地で開催しますので、ぜひお近くの絵画展にいらしてください。会場でお待ちしています!

ワッホー ありがとうございました。
(取材:2010年5月20日(木))
 
 
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