ワッホーインタビュー
▼「世界と戦うために」編

技術的なものは、そんなに差はないと思うんですね。

[ボッチャ]大阪南野一家コーチ・南野博紀さんインタビュー!
ワッホー 広州にも行かれて、いろいろ世界も見てこられた南野さんに今回一番お聞きしたかったのが・・・まあ、競技人口の違いとか、環境・・・国のバックアップの問題とかあるんですが・・・今の日本だと、練習する時間や場所が少ないとか・・・藤井選手が広州で海外の選手に「週2回練習している」と言ったら笑われたらしいですし・・・

南野さん そうですね。強い国だと、3日、4日・・・

藤井選手 5日って言っていました。

南野さん そのくらいやるだろうなあ。

ワッホー 勝つ気ですからね。

南野さん 生活も懸かってますからね、世界は。金メダルを獲ったら一生心配ないくらい年金がもらえるとか。そういうモチベーションの違いはあるんでしょうけど・・・

ワッホー そうなんですよね。行き着くところは結局、国のバックアップとかなっちゃうんですけど、でも、それを言っていてもしょうがないので・・・

南野さん うん、そうですね。

ワッホー 今の日本でも、バックアップのある国の選手たちに勝っていかないと、パラリンピックでメダルを獲ることはできないので・・・そこでですね、南野さんなりに考えられている、こういう風にやっていったら世界でも戦えるんじゃないか、こういう技術を身につけていったらメダルに近づけるんじゃないかっていうところを、ぜひ聞かせていただけたらと。

南野さん なるほど。何だろう? どうやったら世界に追いつけるか・・・う〜ん・・・ま、モチベーションというところはしょうがないとして・・・

ワッホー 現状の日本人が世界で勝つために・・・それこそ投げ方でも作戦でも、勝つ方法っていうのを何か見つけていけたら、と。

南野さん そうですねえ・・・たぶん、技術的なものは、そんなに・・・メチャクチャ差はないと思うんですね。ようは、自信の問題かなあ・・・

ワッホー メンタル?

南野さん 練習時間が短くても、集中している時間がキッチリしていれば、そんな差は出ないと思うんですね、僕は。向こうは5日間やってる、こっちは週1回、2回。でも、それなりに濃い内容をしてたら、そんなに差は出ないと思うんですね。だけど、やってても・・・自信の問題っていうのかなあ。

ワッホー 場数・・・場慣れ、実績の差・・・というのもあるんでしょうか?

南野さん そうかもしれませんね。

とにかく放れ、と。ポンポン、ポンポン、ポンポン、ポンポン。

[ボッチャ]大阪南野一家コーチ・南野博紀さんインタビュー!
南野さん あ、あと修正する能力ですかね、調子悪いときとかの。

ワッホー それは、コーチとかまわりの人間が?

南野さん う〜ん・・・コーチの問題にもなるんですけど(苦笑)、それだけじゃなくて、自分自身で・・・自分自身がどういう投球フォームで放ってるか、ということをどれだけ理解できているか、ってことですね。

ワッホー 自己修正能力?

南野さん そうですね。今はほとんどの日本選手が、ベストのときの自分の投球をわかってない・・・

ワッホー なるほど。ベストの投球をわかっていないから、修正もできない・・・

南野さん よくイメージトレーニングって言うじゃないですか、あのとき一番大事なのは・・・目をつぶって、こう頭の中に自分の人物像が浮かび上がってきてボールを投げてるんですけど、その人物像の目でボールを放ったらダメなんですよ。頭の中に自分が出てきてボールを放ってるんですけど、その放ってる人間をこっから(前方上から)見てるイメージができないと。

ワッホー 俯瞰している? 「自分見る」のではなくて「自分見る」?

南野さん 自分が目をつぶってイメージして放ってても、自分の目で見ていたら結局わからないんですよ。放っている自分に対してこっち(対面方向)からとか、どっからか見れる視線が出てこないと、自分の投球動作っていうのは、自分のものになってないらしいんですね。

ワッホー 客観視できるか、ってことですね? 中から放ってるのを見てると、自分の視界分しか見えていないですけど、自分の全身の方を見ている視界というのは、別の人・・・もう一人の自分のものですものね。

南野さん そうなんですよ。

ワッホー これって、どのスポーツでも・・・

南野さん 全部一緒です。

ワッホー 大きな大会に出れば出るほど、緊張やプレッシャー・・・メンタルでフォームは崩れやすいものだと思います。そこで、自分のベストの形はこうだ、っていうのをしっかり見据えて修正していけないと、ボロボロになっちゃいますね。

南野さん そうなんです。そこですね。で、そのためにどうしたらいいのかっていうと、もう・・・投げ込むしかないんですね。

ワッホー 寝てても同じフォームで投げられるくらいの・・・

南野さん そうそうそう。それができれば、練習時間がそんな長くなくても、ちゃんと集中してやれればカバーできると思うんですね。

ワッホー 自分の一番いいと思われるフォームを無意識に・・・手を気にしながらとか、調整しながら投げるんじゃなくて・・・

南野さん そういうのを練習の中で・・・けっこうみんなボールもったらすぐ狙うんですよ、じゃなくて。藤井選手にも広州アジアパラのときちょっとやらしたんですけど・・・あ、あと日本に指導に来ていたポルトガルのコーチも同じことを行っていましたけど、とにかく放れ、と。ポンポン、ポンポン、ポンポン、ポンポン。

ワッホー 狙うとかじゃなくて・・・

南野さん ・・・ポンポン放れ、と。そういう練習をしとかないと、プレッシャーもかかる試合では絶対通用しません。とにかく投球を・・・自分のからだに染み込ませるっていうのかな。

ワッホー いざっていうときに頭で考えるんじゃなくて、動きがからだに染み付いていると?

南野さん そうそう、それくらいの投球ができるように、世界のトップ選手らはなってんだろうなあ、て。別に肩をあーしたりこーしたりする前に、ポン、ポンって。見とけよ、ポンって感じ。その辺を何とか身につけてもらえたらなあ、って。すべてのスポーツに言えると思うんですけど、ボッチャもやっぱり一緒で、その辺のレベルになってもらえたら、もっと自信もつくと思うんですよね。それなりにスゴク時間はかかると思うんですけど、それぐらいの気持ちを。

ワッホー 練習の仕方も・・・今はレクリエーション的にとか、リハビリ的にっていう人もいて、それはそれでいいと思うんですが、競技として世界と戦っていくことを考えたら、もう少しスポーツとして見ていかないと・・・

南野さん そうですね。練習の仕方も変えていかないと。だから、僕は世界を見てきて・・・いろんな練習方法っていうのも見てきたんで、その辺を今後に活かしていけたらな、と。

あの選手はこのぐらい。なら、この選手もこういう投げ方がいい、と。

[ボッチャ]大阪南野一家コーチ・南野博紀さんインタビュー!
ワッホー もともと南野さんは理学療法士(※4)さんでいらっしゃいますが・・・

南野さん そうです。

ワッホー ボッチャというのは昔から知ってたんですか?

南野さん いや・・・僕の恩師である奥田先生(※14)と一緒に仕事させてもらうようになって、ずっと、障害者スポーツ・・・最初は水泳にかかわっていたんですが、イギリスで開催されたロビンフッド大会(※15)というのに行って、古賀先生(※16)渡辺先生(※17)らと出会って、そこからですね、ボッチャにかかわることになったのは。

ワッホー 何年前くらいでしょう?

南野さん 10年くらいになるんじゃないですかね。

ワッホー 日本でもようやくボッチャが本格的にやられはじめた頃ですね。

南野さん そうですね。

ワッホー それからいろいろボッチャを調べたり、勉強されたり・・・

南野さん はい。

ワッホー 昨年の日本選手権のとき、高田選手に「今、南野先生と一緒にノーモーションスローをやろうと思っています」「浮き玉をやろうと思ってます」と伺ったのですが、そういう技術を調べたり、その選手に合っているかを見極めていくって行くというのは・・・ちゃんとフォームを見たりとか、からだの柔らかさなんかを見ないといけないし、世界の流行みたいなものもあると思うのですが・・・その辺はいかがですか?

南野さん いや、僕らっていうか、理学療法士って動作を見るのは得意なんですよ、仕事柄。

ワッホー ああ・・・本業みたいなもので・・・

南野さん ええ、本業で。だから選手を観察するっていうときは、スポーツを見るっていうより、もう理学療法士の目なんですよ。「今はここ止めてんねんな」とか「あかん、あそこをもう少し使わそう」とか。足を置く位置・・・フットレスに置く位置でも全然違うんですね。前に出したりとか、ちょっと広げとくとかでからだの使い方って変わってくるので。

ワッホー その選手によって、ちょっと足を広げてると重心が安定するとか、あまり広げないと安定するとかありますものね。

南野さん そうなんです。そういう目でけっこう見れるんで、得は得ですよね。選手を・・・うまい選手を見て、研究する。研究はするんだけど、単なる投球フォームとかじゃなくて、僕らはからだの機能・・・筋肉とか。僕らはそんなのが全部見えているんで、「あの選手の腕の機能ってこのぐらいやな。なら、この選手も一緒くらいやから、こういう投げ方がいい」と意外とスムーズに入れるんですよ。だからその点ではそんなに苦労はしてないですね。

ワッホー わりと学術的というか・・・

南野さん そうです、そうです。

ワッホー 事例があって、見て、比較して、合わせたら一番いいんじゃないか、と?

南野さん そうですね。たとえば高田なら、彼の身体機能っていうのをわかってるんで、そのいいところを活かせるような・・・からだが柔らかいんですよ。だから、いろんな投げ方ができる。転がす球だけじゃなく、こうやってふわっとした球も放れる。

ワッホー 専門家の目でからだの機能を見極めるのと、投球フォームなどの技術的な指導と、その両方を行えたらボッチャのコーチとしては理想的ですね。

南野さん まあ、その辺が・・・僕の恩師の奥田先生が・・・重度の障がい者のそういうような研究をされてる方なので、そういうお考えをもっていらっしゃって。理学療法士は、できたらそういう両方の知識を持っていた方がいい、と。
 
 
 
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